映画『永い言い訳』
すごく良かったです。
いい映画やったな。やっぱり好きやな、西川監督。
ヒリヒリするようなのは鳴りを潜めて、温かめ。
でもやっぱりやるせなさもすごくある。
妻が死んだことで出会った人、それによって救われる再生の物語かといえばそう単純でもない。
妻が死ななくても、自分次第で出会っていただろう、ここに妻がいることが簡単に想像できる関係ってところがね。
生きていてくれたら、ではなくて、自分の過去を突き付けられる。
そもそもクヨクヨしがちの衣笠サチオくんやし。苛まれるよねぇ。
登場人物の誰か一人に共感するとかではなくて、「ああわかる、こういうこと思うよな」ってセリフがいろいろ出てくる。刺さる。
それが痛かったり苦かったり、逆に慰められたり。
視覚的には髪型。
死んだ妻の職業にも関係してってこともあるやろうけど。
幸夫くんもそうやけど、子ども達も。
気にかける人の不在、生活の乱れ様がすごく出てる。
部屋を散らかすのって作り出せるけど、髪の毛はね、時間かかるもんね。リアルやったわ、妙に。
で、ラストのお兄ちゃんで泣かされるねん。もぉ!
うん、お兄ちゃん良かったなぁ。
音楽もすごく良かった。
手嶌葵さんの歌『オンブラ・マイ・フ』はもちろん、エンドロールのピアノ!
ヘンデルの『調子の良い鍛冶屋』誰が弾いてるんやろう?
たどたどしさ、、とまではいかないけど、手作り感があるというか、、、ラストのちょっと前で詰まったんじゃないかな?
超絶上手な人が完ぺきに弾いているピアノではないのよ。
誰かが一生懸命練習して弾けるようになったから人前で披露しているって感じのピアノがすごく良かった。
それが成長というか再生というか、そういう物語のラストに流れていることが、すごく気持ちにぴったり合った。
こういう細やかさが素晴らしい、素敵やなって思いました。
隅々まで行き渡ってる感じ。
映画観てるって忘れてた。
木村多江さんは出てはった??って検索してしまった。
ああ~、あれね!ってなりました。言われてみれば、でした。