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FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」スピッツ特集8/29②

FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」8/29②
8月はスピッツ特集
DJは田家秀樹さん
ゲストに竹内修さん(スピッツのデビュー以来のディレクターさん)

田家秀樹さんによるスピッツ『醒めない』ライナーノーツ



13th『とげまる』(2010年10月)
♪『ビギナー』1曲目
ー『ビギナー』というタイトルがすごいですよね。
ベテランアーティストだから敢えて言うのかな、と思ってましたね。
このアルバムは特殊。アルバムのリリースの前に1回ツアーをやっている。そこで新曲も披露していた。
レコーディングをして、ツアーで披露して、アルバムのリリース。リリース後もツアーがあった。変則的。

♪『若葉』2008年11月
ーこれは驚きましたね。この瑞々しさはなんだ?!と。こんなに透明感のある・・これだけキャリアのある人たちがこういう曲をつくれるんだと。
メンバー40歳くらい。
透明感にはテツヤの弾いてるマンドリンの音がすごく貢献していると思う。ワンコーラス目にリズムが入ってこない感じ。タイトル通り。
映画のタイアップがあって高校生の女の子たちが主人公だったので、そのテーマに沿ってるかもしれないです。

ーこのアルバムからはシングルが5枚出ている。
『若葉』『君は太陽』『つぐみ』『シロクマ/ビギナー』(両A面)
2008年から2010年にかけてレコーディングしている。
シングルやカップリングもあって、レコーディングも一時期に集中していないんですね。
飛び飛びの記憶しかないです。このアルバムだけレコーディング期間が長いです。

ーその間にアリーナ会場でライブがありました。埼玉スーパーアリーナ。
考え方が変わったり、やりたくなったり、、、あまのじゃくと柔軟性。
若い頃は頑固だったと思います(笑)

タイトルの『とげまる』マサムネさんの口からこの言葉が出てきたときに、みんなで「それいいね!」ってなりましたね。
丸いけど尖がってる。とんがってるけど丸い。

ー力が抜けているように感じるアルバムですね。『三日月ロック』『さざなみCD』と比べても、ある種の熱量感があんまりなくて。
シングル曲が多いからだと思います。ポップな作品集。
集中して曲をかいたりするとポップな曲はある程度のパーセンテージしかかけないとマサムネさんは言っている。
時期が分散しているので、その都度その都度のポップな曲が出きている。
この3年間のポップな作品集だと思えばいいかもしれませんね。


14th『小さな生き物』(2013年9月)
♪『さらさら』(『僕はきっと旅に出る』と両A面シングル。2013年5月)
両方レコーディングの最初に出てきた曲。
シングルにしようという話ではなかったんですけど、割と出てくる曲どれもシングルにしても大丈夫かなという曲ばっかりだったので、レコーディングを進めていました。
ー内省的に感じる。こじつけになるかも知れないと思ったりもするんですが、震災を反映してるんだろうなとか。
アルバム全体を通じて少しシリアスなトーンが出ている。影響は大きくあると思います。

♪『小さな生き物』アルバムのタイトル曲。
ー「負けないよ」という歌詞について。
自分にも言い聞かせているでしょうし、人間に対しても歌ってる部分もあると思います。
東日本大震災の後打ちひしがれた人たちに対して、自分も含めて、これから再起していくためにはどうしたらいいか彼なりに考えていたと思います。
ーメンバーは東北のイベンターさんと被災地をまわったりしてますよね。
そこで感じたことについて深く話すというよりは自分たちが出来ることがあるのであればやろう、ということでやってると思います。
ーツアーは延期になった会場もありましたが。
レコーディング自体は、曲作りも滞ったことはなかったです。非常にスムーズでした。

ー『小さな生き物』からはストリングスを入れないで。
自然とそういう流れになりましたね。『スーベニア』から『さざなみCD』への楽曲のシンプルさみたいなことの変化。
今度はアレンジのシンプルさに向かっている。
亀田さんとの距離感も、毎回新しいものにチャレンジするといういい関係だと思います。

『小さな生き物』から『醒めない』はほんとにシンプルに。削ぎ落として。一個一個の音を精査するという感じになってます。

ーそれぞれのアルバムにこういうことをやろうとしたんだな、というのがある。その「やろうとしたこと」の変化について、その間に何があったんだろうな?と。
1回やってみて向いてなかったことはもうやらない。
やりたいこと、おもしろかったことは、もう1回形を変えてやってみたり。
日々出てくる新しい音楽からの影響があったりして新鮮味を保っているんだと思います。

ー竹内さんはレコーディングの時以外はメンバーとはあんまり会わないわけでしょう?デモテープの試聴会で初めて聞いて、メンバーと会ってなかった2年半について発見があったりするというアルバムの始まり方なんですか?
そういうことですね。
このパターンがあったか!ということがあったり、やっぱりこれが変わらず好きなんだねということを確認したりとか、いろいろあります。

ー『小さな生き物』から『醒めない』。ここはどういう関係ですか?
『小さな生き物』は震災の直接的な関連がすごくみられるアルバムだと思います。興味があることというよりも、心情やこうありたいという希望を歌っている。
そこより『醒めない』はニュートラルに戻ってきてはいますが、ただ震災はそこは忘れることができないことで、とはいえ初期衝動だったりとか元々自分たちはどうだった?ということを見つめているアルバムなんじゃないかと思います。

ファーストアルバム『スピッツ』があって、『ハヤブサ』もファーストアルバムの感じがしていて、『醒めない』もファーストっぽいんですよ。
三回目のファーストアルバムの気持ちで僕(竹内さん)は聴いてます。

15th『醒めない』(2016年7月)
♪『醒めない』1曲目

ー15枚を振り返ってみて
当時を思い出して苦い思いや、こうすればよかったというのもありますが、それがあってこその今なんだなと改めて思いましたね。

ー『惑星のかけら』の時に「底」という言葉が出ましたが「ピーク」はありますか?
「ピーク」は今かなと思います。「バブル」はありました(笑)95~6年、スピッツバブルと呼んでますけど。
「ピーク」といったら今だと思いますし、「ピーク」を更新し続けていると思います。
これからは体力と、年齢との戦いになっていくのかな?どうやってピークを維持し続けるか。
ー「今がピークだ」といえる、そういう時の重ね方がすばらしいですよね。
毎回メンバーに驚かされたり、そこまで考えているんだっていうことに気付いたりとかそういうことの連続です。
ーそこまで考えているんだ、というのは改めて思いましたね。特に今回の『醒めない』もそうですけど、こんなにいろんな奥深い意味が歌い込まれているのかとか、この曲にはこんなにいろんな意味があるのかとか、バンドのやりたいことなんだとか。奥深いバンドだなと思いますね。

(竹内さんは)ディレクターという職業柄、音響的なこととか、音的なことに結構気を遣うんですけれども、是非良い環境で音を聴いてみて、聴き比べてみるっていうのを一度試してみていただけると更に楽しいと思います。
聴く環境によって全然聴こえ方が違うので、一度試していただけるとおもしろいと思いますよ。

ーこんな揺るぎないバンドがあったのかという気もするんですが、スピッツを支えているものって何なんでしょうか。
メンバーも良く言ってますけど、草野が作る曲があって、それをいいものにしていくことでこのバンドが一つに固まっている。
草野からしてみると、このメンバーがいてスタッフがいて、この環境の中で思う存分やれているというのが一つのモチベーションになっていると思いますし。
バブルの頃、『ロビンソン』の後も曲のクオリティが一切下がらなかったということが彼らの信頼度というか、それがいまだに続いていると僕は思っているんですね。
僕のように並走してきた人間がいるというのは曲のクオリティコントロールに関しては貢献しているかもしれない、と最近は思うようになりましたね。
新しい人が入ってくると、もう彼らはトップスター、ビッグなアーティストじゃないですか。意見とかあんまり言えないですよね。
僕とか事務所の坂口さんとか、ずっと並走してきてる人間がいるということが緊張感を保ててるんじゃないかと思います。
ーなるほど。それが全作関わっていることの一番大きな意義かもしれないですね。

ツアーへのお誘い

新作から新しい曲、古い、珍しい曲、取り混ぜてやっておりますので是非お楽しみに。
ーもう一度君に出会うための歌ですね。
そうですね(笑)



5週にわたり貴重なお話をありがとうございました。
とても贅沢な番組で、すごく楽しかったです。
スピッツのアルバムを1からちゃんと聴き返したくなりました。


FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」




by aozora-gene | 2016-08-31 05:00 | スピッツ | Trackback | Comments(0)

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